3Dプリンタでパーツ作成
ついに、3Dプリンタで造形してみました。
(すみません、この記事、大分長いです)
私が使っている3Dプリンタは「THE M3D MICRO(※1)」です。結果としては、凄く、いい感じにできました。
今回作ったのは、ドロイド君の首の部分。
実はこのパーツ、スプレー缶のプラスチックキャップから、一部を切り取って作るという、なんとも涙ぐましい代物だったのです。
なので、3Dプリンタで制作できると、とても嬉しい。
このために3Dプリンタを買ったといっても、過言ではなかろう!(む、過言か)
設計
さて、まずはこのパーツの3Dモデルを設計(=モデリング)する必要があります。
最終的に「STL」というファイルフォーマットで出力できれば、何を使っても大丈夫です。
私が今回使用したのは、Blenderというフリーソフト(※2)。
こんな感じで、モデリングしました。
このソフト、最初はとっつきにくい印象を受けますが、慣れればこの程度の単純なモデルは、5分くらいで作れるようになります。
とても多機能で、今回のCAD用途だけでなく、モーション作成など3DCGやゲームのような用途にも使え、応用範囲がとても広いのです。なので、もはやお金だしても買いたいレベルのソフトになっております。
噂は昔から耳にしていたものの、使うのは初めてでしたが、こちらのページ(※3)にて、とても分かりやすく、かつ短時間でモデリングの基本的な使い方を学ぶことができました。ありがとうございました。
3Dプリンタの基本構造
さて、モデリングが完了したら、いよいよ3Dプリンタで印刷です。
3Dプリンタの隣には、インクとなる樹脂がリールで巻かれて置いてあります。
印刷の流れは、ざっくり以下のようになっています。
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1. プリンタのノズルがインクを少しずつ吸う
2. ノズル内は高温となっており、インクが溶けて出てくる
3. ノズルが3Dデータの下層部から順になぞるように動き、少しずつインクを積み上げていく
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この流れからするに、きれいに造形するためには、ノズルへインクがスムーズに供給される必要があります。
このため、以下のようなリールスタンドを作りました。
こちらのサイト(※4)を参考にさせて頂きました。
(ベアリングのディスクデータも使わせていただきました。ありがとうございます!)
リールの受けをベアリングで構成することで、小さい力で回転できるような仕組みになっています。
3Dプリンタのインク
さて、インクとなる樹脂の素材には、種類が色々とあるようなのですが、主流は「ABS樹脂」と「PLA樹脂」のようです。
それぞれ利点・欠点があるのですが、注意点として、ABS樹脂を使うためには「ヒートベット」という、3Dプリンタの床部分を一定の温度で温めておく装置が必要となります。
というのも、ABS樹脂は、ノズルから高温で出た樹脂が、常温に戻って固まる際に、収縮して反ってしまう、という性質があるそうです。
なので、この反り防止として、一定の温度で保つためのヒートベットが必要だそうな。
しかし、私のプリンタにはそんなものはついていないため、消去法的にPLA樹脂を使うことにしました。
写真のリール分買っても、Amazonで2,000円程度でした。これだけあれば、相当遊べそうですね。
印刷の設定
さて、まずはプリントヘッダの位置調整ですが、マニュアルに従ってボタンを押すだけで、全自動でキャリブレーションしてくれます。こんな小さいのに、なんて賢い子なんでしょう。
そして、先ほど作成した3Dデータを読み込み、満を持して印刷!とPrintボタンを押します。
すると、あれっ、「PrintQuality」と「FillDensity」を問われます。なかなか、じらされますね。
PrintQuality
先述のように、プリンタは3Dデータの下層から、1層ずつインクを積み上げることで、造形していきます。
この際の「1層の厚さ」をどれくらいにするか、の設定のようです。俗にいう、積層ピッチのことですね。
これが薄いほど、精度の良い造形ができますが、その分時間がかかることになります。
FillDensity
これは「中身の濃さ」のことです。
例えば、立方体を作った場合、ハリボテのように表面さえあれば、中身がつまっていなくても見た目は問題ないわけですが、その分壊れやすくなります。
一方、中身を濃くすれば頑丈にはなりますが、その分インクを消費するし、時間もかかることになります。
以上のように、用途に応じてそれぞれの設定を使い分けることになります。
印刷の様子
印刷中は、こんな感じになっています。
少しずつ、インクを積み上げている様子がわかりますでしょうか。
そして、完成したものがこちら。
PrintQualityは最も細かく、FillDensityは最も濃く、まあつまりはフルコースで作ったわけですな。それで約3.5時間程度かかりました。
側面が多少デコボコしていますが、ヤスリで削れる範囲です。
はて、よく見ると、作成した3Dデータに加えて、底面に何か円盤状のものがついていますね。
これは、「ラフト」と呼ばれるもので、印刷中にプリントベットから物体がずれないよう張り付きやすくしたり、プリントベット上のゴミや小さな凹凸の影響を避ける等、色々な用途で付加されるもののようです。
このプリンタでは、特に何も指定しなくても、自動で付加されるようになっています。印刷の際にチェックボックスで指定可能です。(2017/12/24追記)
さて、そうはいっても、最終的には印刷物をプリントベットからはがす必要があるわけです。
これをはがしやすくするため、印刷前にプリントベットに整髪料の「ケープ」をかけておくと良い、という裏技があったりするようです。
私は、「ケープ 3Dエクストラキープ」を使ってみましたが、確かにはがれやすいように感じました。
まさか3Dプリンタと整髪料が手を組むことになるなんて…。この使い方を考えた方、凄い発想力ですよね。
ちなみに、私は剥がす際に、以下のようなツールを使っています。
これは、iPadとかを分解する際に、側面からこじ開けるためのツールなのですが、これがまたいい感じに差し込みやすく、はがしやすいのです。
カッターのようにとがってはいないので、傷をつけてしまう心配もほとんどありません。
そして、最後にヤスリをかけて側面を整えたものが、こちら!
左側が元の、苦労してスプレー缶のキャップから切り出したもの、右側が今回作成したものです。
径もピッタリ設計通りで、こんなうすい壁のような物体であっても、まっすぐきれいに作れることに驚きました。
(左側と形状が異なっているのは、Droid君ver2では設計を変えたためです)
ということで、このパーツをもって、ドロイド君Ver2の筐体が完成しました。
左側がVer1、右側がVer2です。
大きさはほぼ同じですが、色々とパワーアップしているのですよ、ふふふ。
それは、また今度のお楽しみということで。
残りは、台座の制作がちょっとと、制御プログラムの制作をもって、完成する予定です。もう少々、お待ちください。
では、また次回をお楽しみに。
参考サイト一覧
※1: THE M3D MICRO 本家サイト(http://printm3d.com/themicro/)
※2: Blender 本家サイト(https://www.blender.org/)
※3: Blenderモデリング基礎。「日本VTR実験室」様 (http://nvtrlab.jp/column/2-2)
※4: リールスタンド制作について。「勝手に修理・気ままに工作」様 (http://projexam.com/blog/hotall/DIY.php?itemid=208&catid=17)